アラゴルンの部屋の扉が音を立てて閉められるや否や、レゴラスはその木の扉に押さえつけられ、服を捲り上げられた。 「えらく性急なんですね」 アラゴルンが待ちきれないとばかりに引き下ろしたズボン下を取り去られ、レゴラスは笑った。 「どうせお前には分からんさ」 熱情を顔にのぼせてアラゴルンがつぶやいた。 エルフの前にひざまずき、いきなり中心を口に含む。 レゴラスは声をあげ、扉の取っ手を握り締めた。 アラゴルンの熱い舌が興奮して疼くそこに絡みつき、思わず目を閉じて頭を木の扉に押し付ける。 荒く息を吐き、アラゴルンが巧みに求め、舐めるのにうめきをこらえた。男の指が腿の間に入り込み、双球を揉みしだかれる。 アラゴルンにやさしくそこを弄ばれ、唇と舌とで中心を舐め上げられてレゴラスはついにうめき声をあげた。 細い指をアラゴルンの髪に滑り込ませ、彼をひきはがす。 「私が欲しいのは−−−」 「何でも」 アラゴルンは荒く息をつき、濡れた唇を光らせながら見上げた。 崇拝と欲望がまざりあって、蒼い瞳が煌く。 「お前の欲しいものは何でもやる」 彼のその服従はいつもならレゴラスにとって愛すべきものであったが、このときなぜかエルフは戸惑った。 ハルディアとは何という違いだろう。単に奪うだけの彼とは。 ぼんやりとそう考え、すぐに嫌悪感を催した。 なぜ、今このときにあんなエルフのことを考えているのだ? 顔に何も出ていないことを祈りながら、レゴラスは屈み込んでアラゴルンの頬を両手で包み、 「あなたの中に入りたい」 そう告げた。 欲望の炎がアラゴルンの首筋を赤く染める。 「わかった」彼は息をついた。 レゴラスは彼を立ち上がらせ、ベッドへと導き、口付けをかわした。 アラゴルンの口付けは柔らかで優しく、レゴラスは彼の手管にまるで己が溶けてしまうような気になった。 アラゴルンの着衣をゆっくりと脱がせてゆく。最後に正面部分を露わにすると、彼の男根は欲望に濡れていた。 レゴラスはやさしく男を反転させ、ベッドの縁にうつ伏せにさせた。 サイドテーブルの上に置かれた小さな瓶を見つけると、中身を手にとり、自身の高ぶりに塗りつける。 辛抱強く待つアラゴルンに、レゴラスの心はまたハルディアへの思いで乱された。 ハルディアなら、決して喜んでこんなことは受け入れないだろう。 むしろ、レゴラスに無理やり受け入れさせるはずだ。 身体を鋭く突き抜ける欲望に、彼は自分自身をなじった。 一体、私はどうしたというのだ? 目の前に意識を引き戻して、レゴラスはアラゴルンの尻を固定すると、うす淡い蕾に己の中心をあてがった。 レゴラスの男根がさしたる抵抗も無く侵入して、アラゴルンが身震いする。 至福感がエルフを満たし、思わず溜息をつきながら彼は抽挿をはじめた。 慣れた感覚が動きを効率的にし、二人は揃って頂点をめざす。 レゴラスは自分の身体をどう向ければアラゴルンに最も快感を与えることができるのか、熟知していた。抽挿を繰り返すのと同時に、どうやって人の子の中心を慰めればよいのかも。 お決まりの手順だ。ふいに横やりのような思考が入り込んで、レゴラスは眉をひそめ、目を固く瞑った。 いいや、そんなことじゃない。私たちは兄弟よりも近しい存在だ。 こうなるべくしてなっただけのことだ。 そうして、いつものようにレゴラスが抽挿をいっそう激しいものにし、アラゴルンが腰を振ってそれに答える頃には、彼のした正当化は不自然なもののように思われた。 アラゴルンが頂点に達し、声をあげながらシーツの上に撒き散らすのと時をあわせて、エルフもすばやく己を解放した。 いつものように、そうなるべくして。 ハルディアの嘲笑が聞こえるような気がした。 なんてことだ。レゴラスは激しく彼を憎んだ。 アラゴルンの汗にまみれた背中に倒れ込み、首筋に優しくキスをする。アラゴルンが微笑んで彼の名をそっと呼んだ。 二人は満足していた。幸せだった。これがあるべき姿だった。 そうではないのだろうか? ![]() レゴラスは夕食の席に行きたくなかった。 腹は減っていたが、宴に出るということはハルディアに会うという ことであり、今、あの傲慢なエルフの顔を見るのには耐えられそうになかったのだ。 特に、アラゴルンとのあの昼下がりの逢瀬の後では。 しかし、もちろん彼にその選択肢はなかった。 招待を断るということは、エルロンド卿の厚遇に無礼をもって答えるということになるし、また、結局ハルディアに対して負けを認めることになる。 それだけは、レゴラスには許せなかった。 だから、彼は他の者達と共に裂け谷の大広間に赴いた。いざ席に着いてみると、彼の席はアラゴルンとエルロンド卿の間で、彼は心から安堵した。 ハルディアとその弟達の席はエルロンドを挟んで向こう側で、レゴラスはその距離をはるか遠くに感じることが出来た。前か後ろに大きく身体を乗り出さない限り、ロリアンのエルフ達の顔を拝むことはない。 彼は誰にともなく感謝した。 夕食の間、しばしばアラゴルンは目立たぬように、手や足で優しくエルフに触れてきた。彼の世話をかいがいしく焼き、杯が空いたといってはすぐに満たし、皿が空になったといってはおかわりをついだ。 初めて、レゴラスはこの人の子が自分をほとんど崇拝しているも同然だということに気がついた。 その考えは、ほんの少しではあったが、居心地が悪かった。 夕食が終わり、エルロンド卿がハルディアと弟達を伴って書斎に引き上げる時、レゴラスは疲労を装って誘いを断った。 そこを立ち去る時にも、ハルディアの探るような眼差しを注意深く避けながら。 レゴラスの寝室では、アラゴルンが待っていた。 彼が幾本ものキャンドルに灯りをともし、ベッドの周りに配しているのを見て、エルフの表情に驚きが浮かぶ。ベッドカバーの上には花びらが散りばめられている。 このロマンティックさは耐えがたい。 まるでそれが、アラゴルンが彼を崇める神殿であるかのような印象を受け、レゴラスはそう考えた自分に嫌悪する。 自分の考えにいらいらし、レゴラスはアラゴルンの両肩を掴むと荒々しく口付けた。そして人の子が触ってこようとするその手を、エルフは思い切り撥ね退けた。 レゴラスは彼らの間のお決まりのパターンを崩したかった。 彼らの愛の営みに、何か新しいものを吹き込みたかったのだ。 しかし、口付けをやめて顔を離すと、アラゴルンは混乱と狼狽の入り混じった表情で彼を見た。 アラゴルンは、その心根自体が、癒しなのだ。 彼は決してレゴラスを傷つけるようなことはしない。 たとえエルフがわざとそうさせようとしても。 「レゴラス?」 静かに微笑みながら、レゴラスはアラゴルンの眦に沿って慰めるようなキスを降らせる。 「私のことを愛したい、それだけなのでしょう?」 エルフがつぶやいた。 アラゴルンがレゴラスの頤をなぞる。 「お前は俺の人生において、最も素晴らしい存在なのだ」 人の子はそう認めた。 「俺は只の人間でしかないが、それでもお前は俺に愛されてくれている」 レゴラスの胸を鋭い痛みが走った。 アラゴルンがまだ何か言おうとするより先に、レゴラスは唇で彼を封印し、花びらで覆われたベッドに彼を押し倒した。 キャンドルの瞬く灯りが神聖さを醸し出す中、二人は求め合い、愛し合った。 レゴラスは高みに達しながら、そのわずかな一瞬、名残惜しそうな眼差しを開け放った窓の外へと向けた。 眠りについたアラゴルンを残し、レゴラスはそっと部屋を出た。 悲しみが彼の胸を満たしていた。 どこへ行けば、どうすれば、彼を苛むこの思いを和らげることができるというのか。 外をさ迷い歩き、橋を渡って、いつの間にか滝壷の渕の暗がりにたどり着いた。 水しぶきと霧で、すぐに顔中が濡れた。 レゴラスは目を閉じ、頬を濡らすものの中に涙が混じっているのではと思う。 アラゴルンを愛してはいたが、人間としての彼に恋をしているわけではない。 アラゴルンが自分に対して向けてくれるはっきりとした感情を、自分が彼には返せない事実に、レゴラスは絶望した。 自分はアラゴルンにはふさわしくない。 レゴラスは自分がその感情を彼に返すことができれば、と願った。 「あなたに居られると、邪魔です」 レゴラスが不意に目をあけて告げた。 ハルディアが小道をそれて草むらに分け入ってきた。 暗がりの中でも、彼が笑みを浮かべているのは明らかだった。 「俺のことを嫌いになったのかと思い始めているところだよ、我が美しき若君」 「そんな風に私を呼ぶな」 ハルディアがくつくつと笑った。 「なぜ?見たとおりじゃないか。’奴’だって、お前に唇を這わせているときにはそう呼ぶのだろう」 レゴラスの痛みが、怒りに変わった。 「彼の話はするな。お前にその価値は無い」 厳しい口調で告げる。 「価値が無い、だと?」 ハルディアがあざ笑った。 「アラゴルンなど他愛も無い。奴はエルフを愛している、という幻想に酔ってるだけだ」 ゆっくりと近づき、あと一歩で触れんばかりの距離に間をつめる。 「お前が奴の側に居る理由などお見通しだ。奴はお前を崇めている。奴にとってお前は夢の具現なんだ。光と美の、理想の具現だ。お前のためなら、何だってするつもりだろう。実際、そうじゃないのか?」 自分自身を抑えきれず、レゴラスは身体の横で拳を握り締めた。 「お前に私たちの何がわかる。アラゴルンは、お前が知らないだけで、ちゃんと情熱をもって私を愛してくれている」 霧に濡れたハルディアの顔が、鈍い月明かりに輝いた。 「おや、でも俺だってその情熱については知ってるぞ、親愛なる同胞殿。あの森で、俺の下で感じたやつだろう。憶えてないとは言わせない」 レゴラスの口がカラカラに渇いた。 甘い口調で続けるエルフに背を向け、滝のほうを向く。 「お前とあの人間との間がどんなだかは想像するしかないがな。お前の中に入れてやるのか、奴の長剣がお前を貫くのか?」 レゴラスが硬直する。 「いいや、その反対だろうな」ハルディアは続けた。 「アラゴルンはすべてお前のやりたいようにさせるんだろう。まるでお前の愉しみのための玩具のようだな。お前は奴にとって神聖不可侵なエルフだ。お前には何だってさせるはずだ」 「黙れ」 ハルディアが近寄り、彼の身体から発する熱がレゴラスを焼いた。 「俺はアラゴルンとは違う」 男の声がねだるような愛撫となって肌をすべる。 「俺は自分が欲しいものはすべて手に入れる。お前にだって楽しませてやるさ」 レゴラスは身震いした。 「それ以上云うな」 その声はざらついていた。 熱い息が頬にかかる。 「認めるんだな、若君。お前は崇められたいんじゃない。奪われたいんだ」 レゴラスに頬を平手打ちされ、ハルディアの頭が後ろにかしいだ。 男のショッキングな表現はしかし、レゴラスを奇妙に満足させていた。 ロリアンのエルフは頬を撫でた。 「もう一度やってみろ、そしたら−−」 レゴラスのもう片方の手が空を切ったが、今度はハルディアも待ち構えていた。 エルフの手首を捕らえ、折れんばかりに握り締める。怒りに燃え、レゴラスが空いたほうの手で男を押しのける。ハルディアがレゴラスの足を引っ掛け、二人は濡れた草の上に倒れ込んだ。 怒りに力がみなぎったが、ハルディアに力強く握られた手首は抵抗のしようがなかった。腕を後ろに強く捻り上げられて、レゴラスは思わず声をあげた。 顔を草むらに押し付けられ、ハルディアが彼の背中に馬乗りになる。 何か鋭い音が聞こえたと思ったのもつかの間、捕らえられた手首が、ハルディアが上着の中から取り出した長い皮ひもで縛られる。 彼は改めてもがいたが、ハルディアの力は彼の力を大きく上回っていた。 レゴラスのもう一方の腕も後ろに廻され、両手首を縛り上げられて、彼は草の上で力なく喘いだ。 「離せ!」 皮ひもを引き剥がそうとしながら、要求する。 ハルディアがのしかかって来た。息がレゴラスの耳をくすぐる。 「なぜ?本当は離して欲しくなんかないだろう?それに−−」 品定めをするように、背中の上から下にに手を這わせる。 「お前だって楽しめるさ」 男の次の動作をひどく恐れながら、レゴラスは全身を張り詰めさせてじっと横たわった。 衣服の前半身が露に濡れそぼり、身体が震え始めたが、そんなことはたいした問題ではなかった。ただ、ハルディアの手が尻を掴み、撫で回していることだけが問題だった。 「はじめて見た瞬間からお前が欲しかった、と知っていたか?」 レゴラスは苦々しく笑った。 「お前の興味は分かりやすい。相手が誰であれ、征服することを楽しんでいるんだろう」 尻にかかった手が動きを止め、痛いほど握り締められる。 「それは違う、若君。俺は’お前’を征服したいだけだ」 ハルディアは彼の両肩を掴み、引きずり起こして膝立ちにさせた。 そして正面に回り込み、彼らは草むらの上で向き合った。 濡れた服で身体は震えてはいたが、レゴラスは怒りに燃えて男を睨みつけた。 ハルディアがかすかに微笑んだ。 腕をあげ、エルフの頬に沿って指を這わせる。親指がレゴラスの唇をなぞった。 「アラゴルンが羨ましい。奴は俺の持っていなかったものを持ってる」 そういって頭を傾げ、レゴラスを覗き込んだ。 「時に思う。お前が情熱の先端にいるとき、奴には何が見えるんだ?俺にも見せてくれるか?」 レゴラスは目を見開いた。欲望と欲求が狂おしく渦巻くのをかろうじて飲み込む。 「離せ、ハルディア」 出来る限りの脅しを含めた口調で続ける。 「こんなことはしたくない」 温かい唇が、彼の唇を軽くかすめた。 「信じないぞ」 ハルディアがそう囁いた。 腕をレゴラスのズボン下のベルトに滑らせる。レゴラスは逃げようとしたが、それは無駄な努力だった。ズボン下が簡単に膝まで落ちる。 レゴラスは視線を落とし、彼らの間にある自分自身の、明白な欲望の高まりに気づいて顔を真っ赤にした。 レゴラスの脈打つ高ぶりをまじまじと眺め、ハルディアの唇の間から溜息が漏れる。今、ハルディアにそのことを冷やかされたら恥ずかしさの余り死んでしまう、とレゴラスは思ったが、男は興味深そうに沈黙を守った。 長い指が試すように高ぶりの先端に這わされ、レゴラスは身震いした。 「今なら、あの人間が馬鹿になったわけが分かる」 ハルディアがようやく、独り言のように云った。 「お前は愛らしい、レゴラス。俺が想像していたとおりだ」 ハルディアが彼の裸を想像していた、という考えは、レゴラスの身体に淫らな興奮を送り込んだ。 ハルディアがそれに気づき、暗く強い光をたたえてエルフの顔を見る。 「ああ、その通りだとも、我が若君。俺はずっとこの瞬間のことを考えていた。お前にどんなことをしようか、とか、お前がそれにどう反応するだろうか、とかな」 刺激がまるで制御不能の炎のようにレゴラスの神経に広がる。 彼は唇を舐めた。彼のものではない声が尋ねる。 「それで、私に何をしようというのだ?」 男の表情を獰猛な欲望が横切り、レゴラスは息を呑んだ。 「俺を欲しがって泣かせてやる」 掠れた声でハルディアが云った。 レゴラスの顎を掴み、無理やり視線を合わせる。 「離して、って泣き叫ぶまで、俺のあそこでお前を引き裂いてやる」 男の笑みは凶暴だった。 「そして、それからもう一度犯ってやる」 レゴラスは弱々しく瞳を閉じた。こんなことがしたかったわけじゃない。 こんなことが、したかったなんて、思えるはずが無かった。 こんなものは愛じゃない。アラゴルンが与えてくれるそれではない。 これは、肉欲で、卑しく、淫らな行為だ。 しかし、ハルディアの指が突然中心に絡みつき、そんな考えはどこかへ消えてしまった。 レゴラスはうめき、ハルディアが巧みに中心を撫でるのにあわせて腰を前に突き出した。 「目を開けろ」 ハルディアがそう命令して、そこを握り込む手をわずかに強めた。 「お前が見たい」 レゴラスは身を震わせ、その命令に従った。 自分が、こんなにも脆いものだったのかと思うと嫌気がさす。 欲望のうずきが明らかに積み重なるこの姿は、ハルディアの鋭い目にはどう映っているのだろう。 彼は視線を男の向こうに逸らせようとしたが、突然肌を抓られてハルディアに視線を戻した。ハンサムなその顔に、警告の色が浮かんでいた。 「俺の目から視線を逸らすな」 彼はハルディアの視線に自分のそれを合わせ、その結果、レゴラスの感じる悦びは隠しようもなく男に読まれてしまうこととなった。 度々、ハルディアは指で撫で回したり擦る速度を変えたりして、その度にレゴラスがあげるすすり泣きを愉しみながら傲慢な笑いを浮かべた。 レゴラスは無性にその張り付いた笑いに平手打ちしたくなった。 しかし、両腕は縛られたままだったし、徐々に何もかもがどうでもよくなってくる。高まる快感だけを残して。 快感が、もう少しで頂点を迎えようとしていた。 ずっと注意深く見守っていたハルディアもその兆候を感じ取り、前屈みになって、所有欲に塗れたキスでレゴラスの唇を捕らえた。 レゴラスがついに声をあげた時、ハルディアの舌が口内を満たし、声をくぐもらせた。 男の手が彼の中心の先端を覆い、解放を受けとめる。 手は離れたが、ハルディアの口は離れようとしなかった。 舌をレゴラスの口内に突っ込んだまま、ハルディアは自分のズボン下を脱ぎ去ると、レゴラスを膝の上に引き寄せた。 レゴラスは口を引き剥がした。「何を−−−」 「俺の妄想を最後まで実行するだけだ」 荒々しく答えると、ハルディアは自分の高ぶりにレゴラスが放った銀色のきらめきを塗りつけた。 レゴラスの腰を掴むと、ハルディアの勃起した部分が固い蕾にちょうど当たる部分に固定する。 レゴラスは緊張し、縛めを解こうと無駄な努力をした。 こんなことには慣れていなかったし、したくもなかった。ハルディアが最初の手ほどきをする男になる、というのか。 ハルディアは彼の恐怖を感じたのか、初めて、その声に優しい響きを含ませた。 「力を抜け、若君。緊張するな、さもないと必要以上に痛い思いをすることになるぞ」 ハルディアはゆっくりとレゴラスを沈め、屹立した先端が固い入口を突き刺した。身体中が意に反しておののき、レゴラスが喘ぐ。 「静かに、リラックスしろ」 ハルディアが優しくなだめ、また少し彼の身体を沈めた。 ハルディアの肉がレゴラスを押し広げ、痛みが声にならない叫びとなって唇から漏れ出た。 ハルディアに自分が苦痛に喘ぐ姿を見られていることなど、もはやどうでも良かった。とにかく自由になろうともがく。 しかし、その努力はハルディアをさらに奥深くに導きいれただけで、ハルディアはうめきながらレゴラスを完全に膝に抱え込んだ。 ハルディアが動き出して、レゴラスはすすり泣きに息が詰まった。 耐え難い痛みとして始まった感覚は、次第に燃えるような悦びに変わった。 腰に添えられた手がハルディアの屹立に沿って、彼を上下へと導く。 動きの一つ一つが、身震いするような悦びをレゴラスの身体に送り込んだ。 「気に入ったか?」 ハルディアがレゴラスの首筋に吸い付きながら訊ねる。 レゴラスは、頭を仰け反らせてすすり泣いた。 その行為を楽しめば楽しむほど、それを認めるわけにはいかなかった。 ハルディアがレゴラスの腰を引き寄せながら、自分自身を上に突き上げる。腰を廻し、細いエルフの内部で彼の男根が円を描くようにする。 「達けよ、レゴラス。どんなふうに感じてるか教えろ」そう要求した。 「お前は−−お前は−−」 「何だ?」 「私を殺す気か!」 レゴラスはそう吐き出しながらも、腰をくねらせ、体内でさっき見つけたばかりの、きつい快感を覚えるスポットにハルディアの男根を持ってこようとした。 「こんなのは、拷問だ!」 ハルディアは野太く笑った。 「その通りだよ、我が若君。まったくその通りだ」 自分の上でレゴラスの動きをより激しく導きつつ、彼の頭もまた後ろに仰け反った。銀の髪が流れ落ちる。 レゴラスは彼が愉しむのを見ながら、ハルディアがどうしてこんなにもアラゴルンとは違うのだろう、と思い返した。 このエルフの邪悪なまでの奔放さは、麻薬のように魅力的だ。 ハルディアはまるで美しい氷の彫刻のような光を放っている。しかし、顕著な違いは−−彼が燃えるような存在だということ。 彼の激情の熱さはレゴラスを圧倒して飲み込み、遠くかなたへと連れ去った。ハルディアは乱暴に突き上げ、激しい痙攣とともに精液を注ぎ込んだ。 ハルディアはレゴラスを引きながら後ろに倒れ込んだ。 そしてエルフの身体に手を廻し、手首を縛めていた皮ひもの結び目をほどく。レゴラスは肩の力が抜け、たじろいだ。 「お前を傷つけてしまったか?」 ハルディアがそう訊ね、手首をさすってきた。 「いいや、平気だ」 レゴラスはそう答えたが、男が世話を焼いてくるのが何だか可笑しかった。 ハルディアが眩惑的な笑みを浮かべた。 「よし。それならもう一度できるな」笑みが淫らな色に変わる。 「お前も欲しいんだろう」 レゴラスの顔に血がさっと上った。自分は決して−− 「傲慢さはエルフにはふさわしくない、と誰もお前に教えなかったのか?」 彼は唐突に吐き捨てた。 ハルディアが眉を吊り上げる。 「へえ?」 彼の手が、レゴラスの足の間で膨張したままの肉を包み込んだ。 「それは、お前の身体が教えてくれていることとはどうも違うようだが」 レゴラスの返答は、再び身体を高められることによってうめきに変わった。 彼はハルディアが憎いと思った。 本当に、憎いと思った。 (続く) ![]() |
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