汚れた床の上にレゴラスは足跡を残さなかったが、アラゴルンは彼の行く先を聞き分けることができた。エルフの呼吸は浅く速く、まるで傷ついたけものの跡を追っているようだった。 廊下は円形の部屋で行き止まりになっていた。 アラゴルンは、レゴラスが両手を握ったり開いたりしながら、ゆるい曲線をえがいた壁のほうに歩み寄るのを見た。 「レゴラス」 エルフがはっと驚いて見上げた。 旅を通して、彼の隙を捕らえることができた者はそういなかった。これで明白だ。 アラゴルンはエルフのかすかに湿った額と、赤味のさした細い頬骨を観察した。 レゴラスの瞳は陰鬱に鈍く光り、アラゴルンを一瞥するとすぐに通り過ぎた。 「一人にしておいてください、アラゴルン。誰にもいて欲しくありません」 エルフが吐き捨てた。 「逆だな」アラゴルンは部屋に入りながら答えた。 「今、一人で取り残されるのは一番嫌だろう。闇の中で一人取り残されるのは」 彼は最後の言葉に含みをたっぷり込め、反応を待った。 エルフは一瞬恐慌に陥って彼を見たが、すぐに表情を取り繕った。 「貴方は必要ない、アラゴルン。力ずくで追い出されたいのですか。貴方の存在は私にとって邪魔でしかないのに」 それはエルフが彼自身認めたがらない恐怖心から発した言葉であると分かってはいたが、レゴラスの態度はアラゴルンの心をちくちくと刺した。 またしても野伏が嫌う、その冷ややかな傲慢さ。 彼は部屋を横切り、ゆっくりとエルフに近づいた。レゴラスがにらみつけた。 「私に近づくな、”人間”」 アラゴルンはその侮辱的な響きを甘受した。露悪的にエルフに微笑みかける。 「俺に教えろ、レゴラス。その白い肌の下に、氷以外のなにかがあるということを証明してみせろ」 アラゴルンは彼の冷たく蒼い瞳に怒りが燃え上がるのを見、畏怖の念を感じた。 怒りに煽られるレゴラスの姿は、驚嘆以外の何者でもなかった。 一度は忘れようとした欲望の炎がアラゴルンの中で再び燃え上がった。 レゴラスがそれに気づき、唇を軽蔑にゆがめた。 「また、汚れた戯れ事ですか?」彼はそうののしり、虚勢を張って頭をつんとそらした。 「欺瞞の王にでもなるおつもりですか、アラゴルン。そのことしか頭にないようですね」 アラゴルンの手が伸びて、色素の薄い髪を鷲掴んだ。 「俺だけではないぞ。お前が抱くその恐れの感情は何だ?何も感じていないように見せかけてはいるが、俺にはわかる」 彼は髪を掴む手にますます力を込め、逃れようとしたレゴラスは痛みに鋭い声をあげた。 「目を見ても、身体を見てもわかるぞ、レゴラス。ここにいるのが怖いのだろう。俺達と同じだ」 そういってエルフを引き寄せた。「それを恥じることはな−−」 レゴラスがふいに身体をぐいっと引き離し、髪が抜けて野伏の手中に残った。 エルフの乱暴さに驚き、アラゴルンは彼の細い身体を両腕で羽交い絞めにした。 レゴラスが声をあげる。その鋭い叫びに、アラゴルンの首筋の毛が逆立つ。 逃れようともがき、こぶしを打ち付けるのにアラゴルンはますます腕の力を強めた。 「やめろ!」エルフは恐慌状態に陥ってところ構わずこぶしを打ちつけた。 「嫌だ、離せ!!」 振り回されるこぶしが当たって唇が裂け、アラゴルンは悪態をついた。 急所に膝蹴りされそうになるのを間一髪で避ける。 力の限りを遣って、彼はレゴラスを緩やかな曲線を描く壁に押し付けた。 石壁に押さえつけられて、レゴラスが鋭く息を吐く。 しかし、エルフの抵抗は止むことは無かった。人間と石壁に挟まれ、彼の恐怖心はむしろ増していた。 エルフの額に鼻柱を強打され、アラゴルンはくらくらと目をしばたいた。 「いい加減にしろ!」 血が鼻の横を流れ落ち、アラゴルンはうなり声をあげた。 身体全体でレゴラスを壁に押し付け、彼は自由になった手をレゴラスの象牙のような首筋に這わせた。 アラゴルンが喉元を締め上げ始めると、レゴラスの瞳が大きく見開かれた。 恐慌の表情が真の恐怖に変わってゆく様をアラゴルンは眺める。彼の手首に細い指が絡みついた。 激しくもがく体が徐々に力を失ってゆくのを感じながら、彼は首を締め続けた。 レゴラスの瞼が揺れ、落ちてゆく。両腕が力なく垂れ下がる。 蒼い瞳から意識が遠のくのを見てとり、アラゴルンは細首に込めていた力を緩めた。 力を失った身体を壁に寄りかからせる。自分の腕一本の前にレゴラスがこんなにも無力であることを知り、野伏は性的衝動に駆り立てられた。この力の差、この無防備さの、なんと誘惑的で耐えがたいことか。 ここまでするべきではなかった・・・。 彼はもう、己を止められなかった。レゴラスの喉をそっと支えながら、アラゴルンは紅潮した彼の頬に指を這わせた。 レゴラスの肌は柔らかく、アラゴルンが硬い氷に例えたもののようには思えない。 あわい産毛が端正な頬を縁取る。 アラゴルンは頭をかがめて、舌で、その柔らかさを味わった。塩と、何か香料のような味がした。 もっと味わいたくて、野伏はレゴラスの頬から力なくゆるんだ唇に舌を這わせた。 柔らかい肉のあいだに舌を滑り込ませながらうなり声をあげる。 抵抗する気のなさそうな歯列の間を簡単に割って、彼の舌はエルフの中に入り込んだ。 うめきながら、アラゴルンはされるがままのレゴラスの唇の奥深くでうごめいた。 レゴラスの舌をぴちゃぴちゃと音を立てて貪るにつれて、身体の中心に欲望が溜まってくる。 彼の空いたほうの手が無意識にエルフの腿にのびた。 アラゴルンの手がズボン下に差し込まれて、レゴラスはうろたえた。 野伏の唇の上に荒い呼吸がかかる。 アラゴルンは顔を上げ、エルフの焦点が彼に合うのを待った。 ふいにエルフの意識がはっきりとした。 アラゴルンの身体を力一杯押しのけ、首に絡みつく戒めから逃れようともがく。 アラゴルンはさらに力を強め、レゴラスを締め付けた。 「俺に抗うな」 野伏がエルフの耳元で囁いた。 「一度でいい、レゴラス、感じることを恐れるな。そんなに悪いものでもないとすぐわかるぞ」 「離せ」 レゴラスは下腹部にまとわりつく手を払いのけようと躍起になりながら語気を強めた。 「こんなふうに私に触れる権利は貴方にはない」 アラゴルンはエルフの中心に指を絡め、しごき始めた。レゴラスが目を瞑るのを見てほくそ笑む。 「隠したければ隠せばいい、美しきエルフよ。今は許せないかもしれないが、後できっとお前は認めることになる。約束してもいい」 彼の手がエルフの上で巧みに動き、高められた中心がさらに硬くなった。 「解き放て、レゴラス。お前を傷つけやしない」 エルフの瞳が挑むように見開かれた。 「決して」レゴラスはかみ締めた歯の間から絞りだした。 「貴方などにいいようにされるものか」 しかし、彼の不屈の意志も、身体の反応の前には抗いようがなかった。 レゴラスの腰が無意識のうちに野伏の手に押し付けられる。 アラゴルンは彼の白い頬に、羞恥の色がさすのを読み取った。 それに力を得て、彼はエルフの喉に強く指を巻きつけた。アラゴルンを見るレゴラスの眼差しに、混乱と恐怖が強く浮かんだ。 野伏は軽く微笑み、指の力をさらに強めた。 蒼く深い瞳の中の警戒の色は、アラゴルンが中心への指の動きの速度を増すにつれ、鈍くなっていった。動きを速めれば速めるほど、エルフの呼吸が苦しそうになっていく。 レゴラスはアラゴルンにしがみついて、すすり泣きはじめた。 野伏の手の中の熱い肉塊が脈打ち、高まる欲望に硬直する。 もう一方の手に喉をさらに強く掴まれ、レゴラスの目から焦点が消えた。 「抗おうとするな」 欲望と酸素の欠乏で弱り果てたレゴラスのすがたに興奮しながらアラゴルンが強く言った。蒼い瞳がめまいに襲われているのを見てとって、青白い喉に絡めた指の力をほんのすこし緩める。 アラゴルンはつとめて冷静に、エルフが回復するのを待った。 レゴラスに理性が戻ると、アラゴルンは再びエルフの高まりを刺激し始めた。 レゴラスは唇をかみ締め、力なくうめく。すると、喉に絡みついた指が再び力を増し、酸素の供給を止めた。 「もうやめて」レゴラスが酸素を求めてか細く囁いた。「もう耐えられない」 見開かれた瞳一杯に広がる懇願の色に、アラゴルンの膝は震えた。 「もう一度だけ」アラゴルンはそうなだめて、舌をエルフの耳に滑り込ませた。 レゴラスが身震いする。 「俺のために達ってくれればやめてやるぞ、いとしいレゴラスよ。俺にやめさせてくれ」 レゴラスは気管を圧迫されて目がかすみ、弱々しくうめいた。 アラゴルンは注意深く手を動かし、今にも意識を失いそうになっているレゴラスを絶頂を迎えるすぐ手前まで導いた。 エルフが意識を手放しそうになったその瞬間、アラゴルンはレゴラスの喉から手を離し、彼の屹立する中心をすばやくしごいた。 レゴラスは声にならない声を上げ、全身を震わせて野伏の手中に吐精した。 アラゴルンはエルフの唇に舌をねじ込み、もはや抵抗を止めた彼の口内を蹂躙した。 レゴラスの解放を目の当たりにし、アラゴルンの満たされない欲望が燃え上がった。 彼はエルフの両肩を掴み、自身が意図するよりも乱暴に固い石の床に引き倒した。 レゴラスはもはや弱り果てており、無理やり四つんばいにさせられて細身のズボン下を脱がされても抵抗しなかった。 すぐに野伏も下履きを脱ぎ、興奮に疼く性器を露わにした。 アラゴルンはエルフのすらりとした腿を持ち上げて肩にかけ、前のめりに押し開いた。淡いピンクの入り口が彼を差し招く。 アラゴルンは指を一本唾液で湿らせ、その先端を固い蕾に差し込んだ。 レゴラスは目を見張り、痙攣した。「嫌だ!」 アラゴルンは手を伸ばしてエルフの髪を掴み、動けないようにした。 そして、レゴラスの膝が胸に押し付けられるまでに全体重をかける。 エルフが固定されたのを確認すると、アラゴルンは固くすぼまった部分で指を掻き回した。 怒りと、そして欲望がせめぎ合い、レゴラスはあえいだ。 「これが好きだろう」アラゴルンが満足そうに言った。 指をさらに奥深く突きたて、レゴラスが声にならない悲鳴をあげるのを聞いて彼の身体はますます高まった。 指をもう一本差し込み、あまりにもきつい入り口を広げる。 痛みに、その蒼い瞳が暗くなったが、エルフは一言も発しなかった。 アラゴルンがやれやれと首を横に振った。 「お前を開かせるにはもう少しかかりそうだな」 アラゴルンはエルフに、身構える暇さえ与えなかった。 彼は指を引き抜き、いきなり露わになった尻を音を立てて打った。 レゴラスの表情から欲情が消え、すぐに屈辱に取って替わった。 彼は改めてもがいたが、男の大きな体躯の下からは逃れようがなかった。 アラゴルンの手のひらが再び青白い尻に置かれ、彼の端正な顔が石の床の上で歪められた。 「いつまで抵抗する気だ?」 手のひらがひりひりするまでエルフを打ち据えていたアラゴルンが不平たっぷりの口調で言った。 「どうすればお前に音を上げさせ、感じさせることができるんだ、クソッ」 「そうなってたまるか−−」 レゴラスは声を絞り出し、石の上で指を握り締めた。 怒りに燃え、アラゴルンはさらに鋭く、傷つきやすい肌を打った。 汗がアラゴルンの目に染みる。 手のひらの熱さから、レゴラスの薄い肌がどんなに痛みを感じているかを想像するのは容易かった。 素早く手を替え、ひりひりするほうの手をエルフの髪に差し込んで、彼はもう一方の手でレゴラスのもう片方の尻を打ち始めた。 レゴラスのきつく結ばれた唇から、抑えたすすり泣きが漏れた。 アラゴルンが力の限り打ち据えるせいで、レゴラスの身体は一打ごとに揺れ動く。 一筋の涙が固く閉じられた瞼からすべり落ち、柔らかい髪の間に消えた。 一筋、もう一筋。 レゴラスはとうとうとめどない涙を流して泣き始めた。 レゴラスの様子に、アラゴルンの心は揺れた。 彼の端正な顔は屈辱と欲望で紅潮していた。涙が細い川のごとく、夏の日の蒼い空のような瞳から流れ落ちる。ピンク色の唇は開き、痛みを訴えるうめきと消え入りそうな哀願が零れ落ちた。 「どうか、アラゴルン」彼は弱々しく訴えた。 「もうやめて。お願いだから」 しかし、アラゴルンはもはやレゴラスの哀願を聞きたいのではなかった。 彼が聞きたいのは、きつく戒められたエルフの発する、情熱の叫びだ。 振り上げていた手を下ろし、レゴラスが安堵のため息を漏らすのを聞いて内心ほくそ笑む。 そして何の前触れもなく、アラゴルンは欲望に疼く彼自身をエルフの身体にねじ込んだ。 レゴラスが叫び声をあげ、頭を仰け反らせて床に摩り付けた。 アラゴルンは一旦動きを止め、逃げていく感覚を集中させる。 荒く息をつきながら、彼はレゴラスの髪を掴んでいた手を緩めて、エルフの顔にしたたる汗の跡をなぞった。 見上げたレゴラスの瞳は苦痛に満ちていた。 「痛い、アラゴルン」彼は消えそうな声で言った。「お願いだからやめて」 その言葉に罪悪感が沸き起こり、アラゴルンは目を瞑った。彼は腰を突き出し、彼自身をきつく締め付ける場所にさらに深く埋め込んだ。 一度すぼまった入り口近くまで抜き出し、またすぐに勢いよく突き入れる。喉の奥からうめきが漏れた。 激しく抜き差しされ、レゴラスはすすり泣いた。 「ずっとこんな風なわけではないぞ」 アラゴルンは前屈みになり、エルフの唇を口に含んだ。 「すぐに気持ちよくなる。信じろ」 それを証明しようと、野伏はレゴラスの中で輪を描くように腰をぐいと廻した。 膨張したアラゴルンが身体の奥深くの感じやすい部分をこすったのか、レゴラスが彼の下で弓なりに反り返った。 「どうだ?」アラゴルンはそう言って、レゴラスが我を忘れて悶え始めるまでその動きを続けた。 「ずっと良くなってきただろう」 「ああ、アラゴルン」 レゴラスは喘ぎ、野伏の肩に爪を立てた。 「ああ、どうか・・・」 アラゴルンは、エルフのあげる苦痛の叫びに悦びの色が混じるまで彼の中を蹂した。 身体をかがめ、エルフの美しい顔を濡らす涙を舐めとると、それは苦痛の味がした。 「これが生きている、ということだ」 アラゴルンは囁き、動きをさらに激しくした。 彼の怒張はレゴラスの内部で石のように硬さを増した。 「”これ”が感じる、ということだ」 アラゴルンの全体重をかけた突きに身体を二つに引き裂かれ、レゴラスは泣いた。 彼らの吐息が混ざり合い、欲情の響きが朽ちた部屋を満たした。 「感じろ」アラゴルンがレゴラスの脈打つ屹立をきつく握り締める。 「さあ、達くんだ!」 レゴラスが鋭い叫びをあげた。 アラゴルンは手のひらで彼の口を覆い、その甲高い叫びを押しとどめる。 エルフは身体がばらばらになってしまいそうに感じて身震いした。 アラゴルンは信じられないくらいに締め付けられて、彼の上で思わずうめいた。 深く突きいれ、蹂躙されたそこでとうとう吐精した。 彼の下でレゴラスがすすり泣き、激しく喘いだ。 彼が撒き散らした銀色の名残が二人の身体をねっとりと繋いでいる。 アラゴルンはやさしく宥めるように、瞼の上に口付けた。 「己を抑えられなくなることが怖かったのだろう」 彼は静かに言った。 「だがこれで、それを越えられるということが分かったはずだ」 濡れて輝いた蒼い瞳が彼を見上げた。涙が長い睫に溜まっていた。 「それを私に教えるやり方は他にもあったはずでしょう、アラゴルン」 レゴラスが戯れていることに気づき、アラゴルンは驚いた。笑みが漏れる。 「確かにそうだな」 そう答え、唇のかたちををなぞる。 「しかし、これほど楽しいやり方はないと思うぞ。そうは思わんか?」 レゴラスの満足げな溜息がそれを肯定していた。 アラゴルンは優しい愛撫を続けた。 いつのまにか、差し込む光はさらに暗く、闇がさらに深く落ちていた。 アラゴルンはそっと微笑んだ。 部屋は真っ暗になっていたが、レゴラスは気づいてさえいないだろう、と。 The End |
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